カーボンニュートラルってどういう意味?脱炭素社会に知っておきたいこと

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結論

カーボンニュートラルとは?温暖化の主な原因となる二酸化炭素濃度の上昇を抑制するという概念。国によって考え方に違いがあるものの、CO2の排出と吸収がプラスマイナスゼロになる状態を目指す取り組みの事を「カーボンニュートラル」と説明できる。

カーボンニュートラルとは

炭素・中立的な

カーボンニュートラルの「カーボン」は、炭素という意味。そして「ニュートラル」とは、中立的なという意味。つまり、二酸化炭素の排出吸収される二酸化炭素が同じ量であるという事を意味します。日本においては、二酸化炭素だけではなく、メタンや一酸化炭素も含め「温室効果ガス」の排出をゼロ(±0)を目指すと宣言※1しています。

補足説明

※1 2020年10月の菅首相の所信表明演説での宣言

温室効果ガス(GHG)の排出量

二酸化炭素や温室効果ガスについて、日本においてどのくらいの排出量なのか確認しておきましょう。その前に、温室効果ガスの種類についておさらいします。

温室効果ガスの種類

  • 二酸化炭素
  • メタン
  • 一酸化炭素
  • フロンガス

– ハイドロフルオロカーボン類
– パーフルオロカーボン類
– 六フッ化硫黄
– 三フッ化窒素

2019年度温室効果ガス 排出量

各温室効果ガスの排出量

 

引用:2019 年度(令和元年度)の温室効果ガス排出量(速報値)

上記は、2019年度の日本における温室効果ガスの排出量と以前の排出量との比較です。温室効果ガスの総排出量は、12億1,300万トン。数だけ見ると全く想像ができない量ではありますが、2005年度や2013年度の排出量と比べると減少している傾向にあると言えます。国内における省エネ対策や電力の低炭素化・脱炭素化が少しずつではあるものの効果が出ている事が数字として伺えます。

温室効果ガスの排出量の内訳

 

温室効果ガスの排出量の内訳をパーセンテージで表したものが上のグラフです。一番多い二酸化炭素は91.2%という高い割合になっています。さらに二酸化炭素(CO2)の内訳で、エネルギー起源とされるものが84.9%(全体に占める割合)、非エネルギー起源とされるものが6.3%となっています。

参照:https://www.jccca.org/global-warming/knowleadge05

温室効果ガス「排出を全体としてゼロにする」取り組み

排出量をゼロにすることは難しい

排出を全体としてゼロにするというのは、先述した通り、温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスしてゼロにするという事です。経産省の資源エネルギー庁のWebサイトでも下記のような明記があります。

排出を完全にゼロに抑えることは現実的に難しいため、排出せざるを得なかったぶんについては同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロ、正味ゼロ(ネットゼロ)を目指しましょう、ということです。これが、「カーボンニュートラル」の「ニュートラル(中立)」が意味するところです。

資源エネルギー庁:HPより

つまり、可能な限り温室効果ガスの排出を減らした上で、吸収・除去量と同等になる事を目指そうというという事です。主な国や市民レベルでの取り組みについて紹介します。

CO2排出削減の為の取り組み

主な取り組み

  • 省エネルギー・エネルギー効率の向上
  • 低炭素なものに転換(水素やバイオマスなどへの転換)
  • 再生可能エネルギー(CO2排出原単位の低減)

身近なものに、省エネ対応の電化製品。実生活の中でのCO2削減の為に、そもそもエネルギー消費を抑えるというのが省エネ家電です。ここ数年でそうした省エネ関連の商品やサービスが増えています。また、非電力部門では、使用燃料をより低炭素なものへの転換が有効といえます。水素や電気で走る自動車や、バイオマス(動植物などから生まれた生物資源)発電などの再生可能エネルギーの注目されています。

Appleなどの有名企業もカーボンニュートラルに積極的に取り組む

iPhoneやMac製品で有名な「Apple(米国)」は、Webサイトで大々的にカーボンニュートラルについて取り組む姿勢を表しています。デバイスのボディに再生アルミニウムを使用するなど、再生素材や低炭素素材を使用する取り組みに注力していく事を(2030年までに)宣言。

Appleのカーボンニュートラル

 

引用:環境-Apple(日本)より

Appleのように大企業が今、カーボンニュートラルに真剣に取り組み始めています。日本の行政や民間企業も、もっとこの「カーボンニュートラル」に力を入れていかなければ、2050年の温室効果ガスの排出をゼロ(±)にするという目標は実現しません。そして、市民レベルでも意識を高めていかなければいけません。